「頑張れカイト君」-06 ------------------------------------------------------------------------ そこにカイトがいた。 潤んだ瞳で責めるように甘く睨んで。 羞恥に染まったピンクパールの肌を晒して。 薄く張詰めた胸に飾られた淡色の突起を脅えたように震わせて‥‥。 まぁ多少はフィルターがかかってんだろが、惚れちまってんだからしょうがねぇ。 そんな妙に冷めた思考を頭の奥に感じながらも、考えるより先に 手が伸びていた。強く腕を掴んで引き寄せる。 「‥いっ‥‥!」 カイトが頬を歪ませるが、うまく力の加減ができない。 胸に倒れ込んでくるカイトを、体を反転させて避ける。 勢いよく投げ出されたカイトの体がソファに沈むより前に 魔法のように抜き去られたズボンが宙を舞っていた。 「ごめんな」 小さく言ってのしかかる。 非難の言葉か、悲鳴なのか。 開きかけた唇が声を発する前に塞いだ。 「‥‥‥ぅっ‥んぅ――――――‥‥‥! ‥‥や、やだっ! やだって、離せっ‥‥!」 腕の中で音を立てて跳ねる肌をしばらく楽しんだ後、一気に組み伏せる。 抵抗が強まると跡を残すように強く噛んだ。 痛みに体が強張ると優しく舐め上げた。 目尻を濡らす涙を絡め取ると耳元で薄く笑った。 「離してやだっ‥‥‥ジンさんっ‥!」 「やっと名前呼んだか。さっきまでお前呼ばわりだったのにな。 でももぅ遅いな。グズグズしてる、お前が悪い」 「‥‥! そんな、そんな‥‥‥‥離してっ 許して‥‥!」 ‥‥‥許して、なんて。 許してなんて‥‥。 軽い目眩を覚える。 そんな言葉で‥‥しかも鼻にかかった涙声で哀願されたら 我慢できるものだって出来なくなる。 「も――――‥‥‥無理。限界」 低く呟きながら攻める手を早める。 味わいながら、貪りながら、知り抜いた体の敏感な部分を性急に刺激する。 「‥‥‥‥アっ‥!や、‥‥んぅっ、ぁっ‥‥‥‥!」 「‥‥あんま可愛い声だすなよ」 「ぁっ‥!!いっ‥‥‥‥‥‥ぃ、ぃいっ‥‥‥‥!!」 「ぃい? いいのんか?」 「ちがっ‥‥いたっっ‥‥‥」 「‥‥‥‥まだ入れてねぇって」 「‥‥‥イぃ‥いっ‥‥ぃ、ぃっ‥‥‥‥!!!」 「‥‥‥?」 「痛い‥っ!!‥‥頭‥‥‥あたま、割れるっっ―――‥‥!!!」 「カイト!!?」 慌てて体を起こすと、カイトは頭を抱えて苦痛に悶えている。 「おいカイトっ! しっかりしろ!!」 「痛い、頭‥!‥‥ンじゃうっ‥!!」 顔は真っ青に青ざめ、ひきつけを起こしたように体を痙攣させている。 暗示による行動が妨げられ、パニックを起こしたようだ。 暴れるカイトの体を抱きしめ、ジンの目は怒りに燃えた。 「‥ちっくしょ――! 誰がお前をこんな目に‥‥!!」 (←お前だよ) 恐慌状態はますます強まり、カイトはしゃくり上げながら叫ぶ。 「俺‥‥俺がっ‥‥! ‥‥ジンさんが背中向けたら、俺が‥‥」 「俺が‥‥? 何だ、カイト!?」 「‥‥が、ヤらなきゃなんだっ‥‥迷わずに、ヤれって‥‥!!」 「‥‥‥‥‥」 何となく事情が飲み込めて、言い様の無い虚しさがジンを襲う。 「‥‥あのなカイト。誰に言われたか知らねぇが、この場合の言葉の 解釈としてはだな‥‥」 「‥‥痛い――――ッ!!!!」 絶叫に、落ち着いて解説している場合じゃないと気づく。 カイトの頭を掴み無理やり上を向かせ、目の前に固定する。 額に手をあて固く閉じた目を開かせて目線を合わせると、強烈な視線を 直接脳に送り込んだ。ジンの眼力にたちまちカイトの体は強張り、大きく 目を見開いたまま小刻みに震え、もう顔を逸らすことが出来ない。 ‥‥‥眠れ‥‥‥‥カイト‥‥‥深く‥‥‥‥‥深く‥‥‥‥ 暗示を含んだ強い眼光はカイトの意識を強制的にシャットダウンし ジンは崩れ落ちる体を受け止めた。 →Next                     (041121) ------------------------------------------------------------------------ →トップ